Z世代の育て方 ~特徴を理解して、強みを活かすには?~

ゆとり世代、ミレニアル世代という言葉がありますが、
最近になってZ世代(ゼット世代)という言葉がよく聞かれるようになってきました。
Z世代とはいったいどのような人たちをいうのでしょうか?
また、企業においてはどのように指導育成するとよいのでしょうか?

1.Z世代とは?

定義はいくつかあるのですが、ほとんどは1990年半ばから2010年代生まれの世代をZ世代と呼んでいるようです。
日本に限定するならば、筆者は1995年から2011年頃に生まれ2015年頃から社会人の世代ととらえるのがわかりやすいと考えています。
少子高齢化が進んでいる日本では2020年の時点で人口におけるZ世代の割合は15%ですが、世界の人口でみると1/3を占めています。
世界に目を向けると既にZ世代は主流派になりつつあるため、様々な場面で存在感を増しています。
日本で少数派だからといって
彼らを軽視するわけにはいかない状況になっているのです。

2.Z世代の背景を知る

Z世代にはミレニアル世代やゆとり世代とは異なる独自の特徴があります。
その特徴を理解するためにどのような背景で生まれ育ってきたかを見ておきましょう。
Z世代の背景を理解すると、その特徴を理解しやすくなると思います。

(下表は5年刻みで時系列に出来事を並べています。
2011年の東北大震災は2010~2015年の間に起きた、とご覧ください。)

いかがでしょうか。
Z世代が生まれ育った時間はITの進展がめざましく、
全世界的に明るいニュースが乏しかったといえると思います。
事件や出来事が価値観に影響を与えるのは必須のことだったといえるでしょう。

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3.Z世代の特徴とは?

ではZ世代の特徴について詳しく見ていきましょう。

〇少子化が進み、競争が少ない環境で育った

日本ではZ世代から少子化が始まったと言われています。
家庭では大事に育てられ、社会でも大事にされてきました。
そういった環境と教育の影響もあってか「認められる」より「自分らしくいたい」、
「負けたくない」より「競争したくない」という人が多数で独自の価値観を形成しています。

〇デジタル・ネイティブ(スマホ、SNSが当たり前)

Z世代は最初の「デジタルネイティブ」です。
Z世代の一つ前が「デジタル・パイオニア」と呼ばれデジタル・ツールの使い方を開拓してきたのに比べ、
彼らが物心ついた時には使い方が確立されていたので後は使うだけです。
ですから、新しいツールを使った情報発信が上手です。
たとえばTiktokなどの新しいSNS上にはZ世代のインフルエンサーがたくさん登場しています。
一方で長年言われていることですが、リアルのコミュニケーションは弱いという側面があります。

〇ゆるい横のつながりを重視する傾向にある

これもSNSの影響です。
「つながり」を求めるのですが、それは熱い濃密なものではなく時々「いいね」と声をかける関係性、
上下関係ではなく横並びで一緒につながっている状態が好まれています。

〇環境やジェンダー、多様性等社会問題への感度が高い

これも学校教育の影響です。
環境問題やSDG’sといったテーマに幼い時から接しているので、
こういったテーマに敏感に反応します。

〇タイパなど現実的で効率のよいものを好む

インターネットやデジタルツールが豊富ということは、多くの情報にいつでもアクセスできる状況に子供の時からいたわけです。
必要な時に必要な情報を検索する、必要なものがすべてそろった環境で育っていますので、探索の時間をもったいないと感じています。
コストパフォーマンスよりもタイパと言われる「タイムパフォーマンス」を重視する傾向にあります。
映画や動画を倍速で見るといった行動はまさにタイムパフォーマンス重視から生まれたといえるでしょう。

〇自分の意見を持っている

面白いのですが、筆者がこれまでに会ったZ世代のほとんどが何らかの自分の意見を持っています。
ただ表立ってその意見を出すことは稀です。
その場の空気に調和することを重視し、1人目立つのは避けたいのです。
ところが、これが1対1になると驚くほど話し始めます。
「さっきはああ言ったけど、実際には〇〇じゃないですか。」
と持論を述べ始める方も結構いらっしゃいます。
どのタイミングで話し出すのだろう?と観察をしていたのですが、
どうやら「ここでは本音を話して大丈夫だろうか?」と様子を伺っているようなのです。
心理的安全性が話題になっていますが、
Z世代にとっては非常に重要な要素だと思われます。
心理的に安全だと感じたら、様々な意見を聞かせてくれます。
そんなことを見ていたのか、考えていたのか、
といろんなことに気づかされます。
なかなか面白いですよ。

〇行動修正力が高い

この特徴はZ世代に限らず、ここ数年の新人の方に共通してみられるものですが、
特筆すべき要素だと筆者は考えています。
何かあまりよくない行動が見られたとします。
何がよくないかを言葉で論理的に説明をし、
理解・納得が得られた時彼らは実に鮮やかに行動修正をします。
すがすがしいほどです。
ここにZ世代育成のヒントが隠されていると筆者は考えています。

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4.Z世代育成、3つのポイント

Z世代の特徴がわかったところで、どのように育てていけばいいのかを考えていきましょう。

Z世代の良さを引き出し、育てていくには次の3つのポイントがあると筆者は考えます。

〇本気で対話に取り組む

特徴のところで述べたように「自分の意見を持っている」のですが、
いつでもそれを披露してくれるわけではありません。
「ここでは自分の意見を話しても大丈夫なんだ」
と感じた時に初めて本音が聞けるのです。

ということは、組織全体が「本音で対話ができる」状況になる必要があります。

気心の知れた人同士では本音で話せても
価値観が違う人とは話せない・・・それは意味がありません。
全ての人が対等に意見を交わせること、
つまり「異分子も大事にする」風土、
心理的に安全な環境をつくることが重要なのです。

〇多様性を活かす

前述の異分子を大事にするとは多様性を大切にする、
個性を活かすということです。
これはZ世代だけでなく、若手の方が大好きなキーワードです。

多様性を活かすスタート地点が何かというと、
まずは相手の個性、他者との違いを認めることです。
十二分なくらいに認めてください。
その後で、個性的なのはあなただけではなく
あなたのチームの中にもたくさんいるんですよ、
チームというのは多様な人の集まりであることをしっかりと説明をしてほしいのです。

ただし順番にはご注意ください。
まず相手の多様性、個性を認めること。
その後で組織のメンバーの多様性に触れてください。
順番を守って「自分はここにいていいんだ。ここに必要とされているんだ。」と
十分に感じてもらうこと。
その後で「他の人の個性も認めあって、互いの良さを仕事で発揮できたらいいよね」と説明すると
スムーズに理解してくれます。

〇組織の存在意義をアップデートする

個性的なメンバーが集まると、
チームの中に軋轢が生まれたり、
意見がぶつかることも当然あります。

ここで大事なことは「違うからぶつかるのはあたりまえ」
「個性的、多様性がある証拠」
と説明をしてほしいのです。
衝突、葛藤=悪 ではなく、
新しいものをつくるプロセスであること、
問題を解決していく過程にいることを教えてほしいのです。

そして、みんなを束ねるのは「経営理念」「ヴィジョン」であると
ことあるごとに伝えてほしいのです。
みんな理念の実現をしようと思っているけれど、
できることや考え方が違うから方法が変わってくる。
実は仕事というのはそれでいいんだ、
学校の勉強と違って、答えはたくさんある。
その答えをそれぞれの個性を活かしながらつくっていくんだ
と説明してあげてほしいのです。
たいていの方の目に輝きが戻ります。

ただ、Z世代の方はSDG’sをしっかり勉強していることも多いので、
経営理念があまりに自社中心過ぎると心に響かない場合があります。
世の中が変われば、人の気持ちも社会のニーズも変わります。
経営理念やヴィジョンが変わってもいいのです。
もし理念やヴィジョンが古くなって機能していないなら、
この機会に是非アップデートをしてみてください。

5.Z世代の育て方、まとめ

  1. Z世代には独自の特徴がある、まずは育ってきた背景を理解しよう
  2. Z世代の特徴を知ろう
    1. 少子化が進み、競争が少ない環境で育った
    2. デジタル・ネイティブである
    3. ゆるい横のつながりを好む
    4. 環境やジェンダーなど社会的な問題に敏感
    5. 現実的で効率のよいものを好む
    6. 表立って言わなくても自分の意見を持っている
    7. 行動修正力が高い
  3. 特徴を生かした育て方がある!
    1. 本気で対話に取り組む
    2. 多様性を活かす
    3. 組織の存在意義をアップデートする

以上、私のこれまでの経験をもとにZ世代の育て方についてまとめてみました。
参考になれば幸いです。

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