新しいリーダーシップ、セルフリーダーシップとは

selfleader

セルフ・リーダーシップとは、文字通り自分自身を導く力のことです。世の中の変化が激しい今、ビジネスパーソンには必須の力です。特に2020年以降、注目が高まっています。今回はそのセルフ・リーダーシップについて解説します。

1.セルフ・リーダーシップとは

■自らを導き、自分に影響を与える

セルフ・リーダーシップとは自らがどのような状態を望むのかを認識し、望む方向へ成長するために主体的に行動する力のことをいいます。世界で初めて「セルフ・リーダーシップ」という言葉を使ったのは、チャールズ・マンツだと言われています。1983年、著作の中で“a comprehensive self-influence perspective that concerns leading oneself“「自分自身を導くため、自らに影響を与える総合的な視点」とセルフ・リーダーシップのことを定義しています。著書「Mastering Self-Leadership(邦題:なりたい自分になる技術)」 の中で、彼が考えるセルフリーダーシップの背景には、社会的認知理論(人が情報を認知するプロセスに注目している)と内発的動機理論(賞罰ではなく好奇心や関心等に基づいて行動する)があると述べています。その後、社会心理学や組織行動学といった分野での調査研究結果も活用しています。
またピーター・ドラッカーは、“being a Self-leader is to serve as chief, captain, or CEO of one‘s own life. ”「セルフリーダーになるとは、それぞれの人生において社長やチーフ、船長のような存在で自分自身に奉仕し務めることだ」と説明しています。ドラッカーは仕事で成果を出すために「セルフ・マネジメント」が重要だと提唱しています。

■セルフ・リーダーシップとセルフ・マネジメントの違い

では、セルフ・リーダーシップとセルフ・マネジメントの違いはどこにあるのでしょうか。
まず、セルフ・マネジメントは「自分の力を最大限に発揮する」ために行います。そのために、自分自身の健康・心も良い状態に保つ必要があります。ドラッカーはセルフ・マネジメントに次の5つが必要だとあげています。

図1:ドラッカーの「セルフ・マネジメント」

セルフマネジメント、5つの要素(ドラッカー)

そもそも「マネジメント」と「リーダーシップ」には、「現在」「未来」といった視点、他者への影響度という違いがあります。その点を考慮するとセルフ・リーダーシップは次の要素で構成されると考えるとわかりやすいでしょう。(ドラッカーのセルフ・マネジメントの要素を「能力」「スキル」に展開しています。)

図2:フロネシス・マネジメントが考える「セルフ・リーダーシップ」

セルフリーダーシップ、7つの要素

セルフ・リーダーシップは、次の3つから構成されます。

  • セルフ・マネジメント
  • 未来創造型問題解決力
  • 他者を動かすコミュニケーション力

更にセルフ・マネジメントは、次の5つから構成されます。

  • レジリエンス
  • 問題解決力(従来型)
  • マネジメントの基礎知識
  • モチベーションのマネジメント
  • タイム・マネジメント

2.なぜセルフ・リーダーシップが注目されているのか?

■リーダーシップ研究が思ったほど効果を出していない・・・

「リーダーはこうあるべき」といった主張を一度は聞いたことがあると思います。皆それぞれに理想のリーダー像があります。また長年にわたり多くの学者たちがリーダーシップに関する研究を重ねてきました。トレンドは変わりつつもその主要なテーマは「どうすれば他者を動かせるか」です。数々の研究結果を踏まえてリーダーシップ・トレーニングが行われ、リーダーのための書籍が何冊も何冊も出版されています。しかし、残念ながら他者を動かすのは至難の業で、ベストの答えが見つかっていません。それよりももっと身近な存在「自分自身」を変えることができたら、おのずと周囲は変わっていく。また自分が望む方向ならば、モチベーションも長期間維持することができる。セルフ・リーダーシップが注目される背景にはそのような事情があります。

■キャリアは自分で考える時代になった・・・

人の価値観がシンプルで育成にじっくり時間をかけることができた時代には、働く人のキャリアやキャリアパス(どういったプロセスで仕事の能力を積み重ねていくか)は企業側が社員を導くことが可能でした。しかし、仕事・人生への価値観が多様化し効率化が求められる現代ではもう企業がすべてをフォローできなくなっているのです。そこで、自分がどのように能力・スキルを習得するかは自分で考えてください、そういう時代になったのです。また、本来ならば部下の育成は管理職の仕事なのですが、管理職自身もプレイング・マネージャーとしての成果を求められていることが多く人材育成の時間がないのが現状です。また技術の進化があまりに早く、世代が変わると仕事の進め方が違います。先輩や上司が経験していないことに取り組んでいる若年層はたくさんいます。技術の進化は止まりませんので、この状態は今後も続きます。ロールモデルを見つけにくいのが今という時代なのです。「自分の未来は自分で切り拓く」といった考え方が必要なのです。

■VUCAの時代、働き方が変わった・・・

現代の経営や個人のキャリアを取り巻く環境は先行き不透明・予測不能、VUCAだといわれています。(VUCA:Volatility(変動性・不安定)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもの)他責思考では、時代に取り残されます。この時代を生き抜くためには、変化を読み取りながら変化にあわせて自分自身を変えていくことが必要です。ただやみくもに変わればいいというわけではありません。必要なことを上手に学ぶながら、自らの強みを活かせる方向へと変化するには「セルフ・リーダーシップ」力が私達を支えてくれるのです。

3.セルフ・リーダーシップを育てるには

上述したようにセルフ・リーダーシップは次の7つの力で構成されます。

  • 未来創造型問題解決力
  • 他者を動かすコミュニケーション力
  • レジリエンス
  • 問題解決力(従来型)
  • マネジメントの基礎知識
  • モチベーションのマネジメント
  • タイム・マネジメント

ですから、この7つの要素を学び、実践することでセルフ・リーダーシップを高めることができます。ほとんどの要素は既存のテーマなので、書籍も出ていますしインターネット上でも情報が出てくると思います。大事なのは「実践」することです。問題解決力に2パターンあることに注意してください。ネガティブな状況を解消してあるべき姿にする従来型の問題解決力と自らありたい姿を設定する「問題設定型」「未来創造型問題解決力」です。前者の問題解決の方法は比較的得意な方が多いのですが、後者は経験したことがない人が多いようです。そのため習得するには時間がかかるかもしれませんが、だからといってあきらめるのではなくトライ&エラーを繰り返し「実践」することが大事です。実践にあたってはまずは個人のコントロールが効く範囲でスタートし、少しずつ範囲を広げていくのがおススメです。

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まとめ

  • セルフ・リーダーシップとは自らがどのような状態を望むのかを認識し、望む方向へ成長するために主体的に行動する力
  • 時代がセルフ・リーダーシップを求めている
  • セルフ・リーダーシップは鍛えることができる!

 

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