最近、関心が高まっている「心理的安全性」という言葉。
似て非なる言葉で「心理的資本」という言葉があるのをご存知ですか?
最近筆者はこの心理的資本に関する仕事に携わっているので、
今日はこの心理的資本について簡単に解説してみます。
1.そもそも心理的資本とは?
心理的資本とは働く人が仕事における挑戦に対して
自信や希望を持ちながら困難を乗り越えようとするポジティブな心理状態のことをいいます。
米国ネブラスカ大学リンカーン校の教授で、
経営学の研究者フレッド・ルーサンス氏を中心に2002年ごろに提唱された概念です。
90年代後半に出てきたポジティブ心理学の流れをくんでいます。
変化の激しいこの時代に生きる私たちは
会社や他者に頼ることなく
自らの志を明確にし、
自ら行動することが求められています。
自立・自律人材への転換が重要だと
以前から言われていましたが、ここ数年で一気にその要請が高まっています。
セルフ・リーダーシップという言葉で表現されることも増えました。
この変化の激しい環境で
セルフ・リーダーシップを発揮するには
個人のポジティブな心理的エネルギーを指し
積極的な行動や自律的な目標達成を促す原動力が必要です。
その原動力こそが心理的資本なのです。
心のエンジンとたとえてみるといいかもしれません。
凸凹道やぬかるみでも
安定して動いてくれ、
状況に応じてカスタマイズできるエンジンがあれば理想的です。
そのエンジンが心理的資本なのです。
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2.心理的資本を高める4つの要素”HERO”
この心理的資本には次の4つの要素があります。
ホープ(Hope:意志とその経路)
目標を達成しようとする意志の力と
そのための道筋を描き、行動推進する
エフィカシー(Efficacy:自信と信頼)
挑戦を成功させるために
必要な努力ができる自信。自分への信頼。
レジリエンス(Resilience:立ち直り乗り越える)
困難や障害、失敗や挫折を経験しても
立ち直り乗り越える
オプティミズム(Optimism)
過去、現在や未来に対して肯定的・客観的にとらえ
柔軟に良い方向にとらえる
英語の頭の文字を取って「HERO」ヒーローと呼ばれます。
みんなが内に持っているこの要素「HERO」を高めて
自らの人生のヒーローになろう、というメタファー(たとえ)がよく使われます。
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3.心理的資本と心理的安全性はどう違うの?
ところで、この心理的資本、
最近話題になっている「心理的安全性」とはどう違うのでしょうか?
実は当初私も違いがよくわからずに困惑しました。
心理的資本は「個人の資質」についての考えです。
一方の心理的安全性は「能力を発揮できる環境や関係性」。
「個人」と「環境・関係性」という違いがあるのですね。
どちらか一方があればよいのではなく
互いに影響しあっているのです。
一朝一夕で実現できるほど簡単ではありませんが、
人が定着する・育つ、強い組織をつくるには
この両方が必要だと私は考えています。
また心理的資本は「測定」が可能です。
心理的資本開発前に一度簡単なチェックテストを受け、
開発の途中と終了時にまた受けます。
どの部分がどんなふうに伸びたかを見て判断することが可能なんです。
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4.心理的資本についてのまとめ
- 心理的資本とは働く人が仕事における挑戦に対して
自信や希望を持ちながら困難を乗り越えようとするポジティブな心理状態のこと。 - 「HERO」ヒーローと呼ばれる4つの要素から成り立つ。
・ホープ(Hope:意志とその経路)
・エフィカシー(Efficacy:自信と信頼)
・レジリエンス(Resilience:立ち直り乗り越える) ・オプティミズム(Optimism) - 心理的安全性との違いは、心理的資本が「個人の資質」について焦点をあてているのに対して
心理的安全性はは「能力を発揮できる環境や関係性」を取り上げている。
以上、参考になれば幸いです。
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