組織開発とは

カラフルな組織デザイン

「組織開発」という言葉をお聞きになったことはありますか?
組織という言葉も開発という言葉も知っているけれど、この2つが結びついた「組織開発」っていったい何のこと?わかるようでさっぱりわからない、と思われる方が多いのではないでしょうか。ここ最近日本ではほとんどの企業で「働き方改革」や「健全な経営」を迫られています。その影響もあって、「組織開発」への関心が高まってきています。そこで、今日は「組織開発」についての基本的な情報と手法について解説いたします。

組織開発とは

組織開発とは組織の内部環境と外部環境を有機的に統合し、健全で変化に強く自律的な「人と組織」をつくることをいいます。
人材開発が「個人」の能力開発にとどまるのに比べて、組織開発は「個人とその周囲の人々」の両方に働きかけます。人材開発は対象とする領域が「個人の能力」とピンポイントなので、組織開発に比べると早く育成することが可能です。

一方の組織開発は対象領域が広がり、協力・信頼・参加・平等・問題解決といった複数の要素を組織内につくろうとします。
テーマも広がるので、人材開発に比べると準備や合意形成に時間を要します。成果が出るまでの長くかかることがあるのですが、人材開発に比べてダイナミックな成果が期待できます。日本では組織開発よりも人材開発を重視する傾向にありましたが、ここ数年で組織開発への関心が高まっています。

なぜ今組織開発なのか

では、なぜ今組織開発への関心が高まっているのでしょうか。

その理由として次のような「変化」があります。

働き手の変化

日本について言うと、人口構成・社会情勢・家族構成・教育システムの変化、そしてグローバル化などの背景から職業観が多様化しています。就業環境も10年前と比べると激変しているといっていいでしょう。また高い専門能力を持つ人材がいる一方で仕事のための能力・スキルが非常に低い人材が混在しています。高い能力を持っていながら、その力をうまく活用できていない人もいます。

技術の発展

日々進化する技術の発展は私達の職種や業務の内容、それに伴い組織構成や産業構造まで変えています。対面しなくてもネット経由でほとんどのことを済ませることができる世の中になり、20年前にはあった仕事がなくなっています。今、そしてこれから先予測できないような状況になった時にどうすればいいのでしょうか。過去の例に倣うことが難しいのです。

社会情勢の変化

グローバルな世の中では国内だけでなく、世界の政治経済の情勢によって企業を取り巻く環境はどんどん変わります。欧米諸国の動向、BRICS諸国の発展、中東紛争等様々な要因で仕事のルールや仕事そのものが変化を迫られています。直接的な影響がなくても、必ずどこかで関連しています。

競争の激化

技術の発展やグローバル化のおかげで競争は激化しています。競争相手はこれまでのライバルとは限りません。いつどこから新しいライバルが出てくるかわからないのです。しかも異業種から入ってくるライバルは、新しい視点で市場に斬り込んでくるので強力な存在になる可能性が高いといえます。

このような変化に対して、従来のような「力・権威・支配・強制」型のマネジメントでは硬直的な反応しかできず、しかも時間がかかってしまいます。

そこで迅速かつ柔軟で自律的に組織に生まれ変わる必要がでてきたのです。スピードを出すには全員参加・協力、自律的な行動が求められます。
協力するには互いの信頼が基盤となり、自律的に動くには組織内のメンバーが未来をつくるための問題解決力を持っている必要があります。

更に健全な組織でなければ、維持ができません。だからメンバーを平等に扱わねばならないのです。

また欧米の巨大企業が組織開発で大きな成果をあげていることも見逃せない事実です。
組織開発だけではなく複数の取り組みをしているのですが、それはまた改めて書きます。

次々起きる変化に「人と組織の変革」で対応できるのならやってみよう、変化には自ら変化することで対応しよう、それが今組織開発への関心が高まっている理由です。

ポジティブなディスカッション

誰が人と組織を変えるのか ~変化をマネジメントするリーダーの存在~

当たり前のことですが、組織開発に取り組むには変化をひっぱっていく「リーダー」が必要です。
組織開発ではチェンジ・エージェントという言葉が使われるのですが、できるだけ専門用語を使わずにシンプルに書きたいのでここでは「リーダー」と呼ぶことにします。

そのリーダーを誰が務めるのでしょうか・・・・?
それは組織のリーダーが兼任することもあるし、「変革のためのプロジェクト」を設けて特別にリーダーを任命することもあります。また外部のコンサルタントと契約して助言とサポートを受けることもあるし、内部の人間と外部のコンサルタントで少人数のチームをつくって実行委員会を設置することもあります。

外部の人間を入れることのメリットは、専門的な知識と豊富な経験を活用できること・内部事情に一定の距離があることから大胆な取り組みが可能であることでしょう。(もちろんこのメリットは場合によっては冷徹というデメリットにもなりえます。)

変化には抵抗がつきもの・・・

そうは言っても、人間は変化を嫌う生き物です。

どんなに「明るい未来のために変わりましょう!」と謳ってもたいていの人は嫌がります。
「仕事への取り組みを変えるとお給料が上がりますよ」と言っても、「ほんと?」「何か裏でからくりがあるんじゃないの?」と疑心暗鬼になる人の方が多いのです。なじんでいる習慣を守りたい、未知のもの・経験したことのないものを怖い・不安だと思う人たちが変化に対して拒絶反応を起こし、抵抗するのは当然のことなのです。

この抵抗は「個人」「組織」両方のレベルで必ず発生します。この抵抗についてもまた詳しく書きます。抵抗があることを前提にすることやとらえ方を知っておくことはとても大事なことなのでしっかり書くことにして、今日は抵抗を和らげる方法を書きます。

変化への抵抗を和らげるには・・・

ということで、変革の先頭に立つリーダーは抵抗に直面します。

ですから「ただやれ」ではなく、抵抗を和らげるためのツールを持たせる・支援することが必要です。具体的には、次のようなものです。

  1. 十分な量・質の高いコミュニケーションを取れるようにすること
  2. 意思決定に多くの人が参加できるようにすること
  3. 小さな変化を意図的につくりだすこと
  4. 変化を受け入れる組織風土を先行してつくること
  5. 学習する組織をつくること

組織開発だけではなく、今ほど人と組織の成長にコミュニケーションが必要な時代はないと私は考えています。
良いコミュニケーションは離職を防ぎ、仕事への意欲を刺激し、能力向上を促します。

ところが、実際は「人手不足」「業務量が多い」「時間がない」「デジタルツールの普及」といった理由でコミュニケーションの量と質が変わっています。 Face to faceのコミュニケーションが減りメールやSNSといったデジタルなコミュニケーション機会が増えています。デジタルのコミュニケーションはタイムラグを伴い、一方通行で情報だけのやりとりになりがちです。 気持ちや感情を伴うコミュニケーション・思考やアイデアを交わす双方向のコミュニケーションが減っているということです。
しかし、変化に対する不安を乗り越え、組織全体で学習するには後者のタイプの双方向なコミュニケーションが欠かせません。 このような環境でより良いコミュニケーションを取るには、1人1人のコミュニケーションスキルを強化すること・有機的なコミュニケーションの機会を意図的につくりだすことが効果的だと私は考えています。2~5についてはまた機会を改めて投稿します。

ビジネスを発展させるイメージ

人と組織を変革する組織開発の方法とは

さて、ではリーダーはどのように人と組織を変えていけばいいのでしょうか?
具体的にどんな方法があるのでしょうか?代表的なものを次にあげます。

感受性訓練

ものすごく曖昧とした表現ですが、要は組織で働く人達が自分の行動が他者とどのような関係を持っているか、他者の行動から何を感じて学ぶかという感受性を高めるものです。仕事に対する生産的な態度を育み、職場での人間関係をよりよいものにし、人と組織を有機的に結びつける効果があるとされていますが、「感情」をベースにすることやファシリテーターの質によって大きく内容が変わることなどが原因で日本では下火に。

コーチング/ファシリテーション

この2つを組織開発の方法として挙げるべきかどうか迷ったのですが、wikipediaで組織開発を検索すると記載があったので含めておきます。私見を言いますとコーチングは組織開発の手法としては弱く、ファシリテーション単体では効果が弱いと考えています。ただどちらの技術も組織開発を進めていく際にはリーダーに求められるものです。

フィードバック

フィードバックは行動による結果に注目して行動を修正し、成長を促す情報を伝えるスキルです。以前から一部のコーチが指導の中に取り入れていましたが、「モチベーションを刺激する」「自発的な行動を促す」「育成が早い」「小さく始められる」といったメリットがあることや1on1ミーティングへの関心の高まりと共に今注目を浴びています。フィードバックのためのスキルを習得する必要がありますが、組織全体で取り組めば個人と組織全体が確実に変わります。

プロセス・コンサルティング

チームや特定の仕事に対する診断を実施し業務上のプロセスに関する問題解決を行います。外部コンサルタントが組織に入ることが多く、コンサルタントは問題提起を行いチームマネジャーやチームメンバーと共に考え解決を支援します。 プロセスを共にすることで、問題解決のノウハウをチームに定着させます。

チーム・ビルディング

チームのメンバー同士でチームの役割や目標を共有し、良い関係性を築くことで協働しやすい環境をつくる取り組みをいいます。目標を共有するだけで済ませることもできますが、プロセス・コンサルティングの手法を組み合わせることでより実践的な効果が期待できます。

アプリシエイティブ・インクワイリー(Appreciative Inquiry)

ほとんどの組織開発の手法が「問題」を見つけ、問題を解決することで人と組織の発展を図るという立場なのに比べて、アプリシエイティブ・インクワイリーは問題よりも「人や組織の強み」に焦点をあてて成長を遂げようとします。GEをはじめとする欧米の数々の企業が成果をあげていることから注目されています。

※先日このアプリシエイティブ・インクワイリーのコンファレンスに参加し、開発者であるダイアナ・ホイットニー博士のワークショップを体験してきました。追ってその時の様子なども投稿いたします。

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