セルフ・リーダーシップ力育成研修

セルフ・リーダーシップ育成研修

セルフ・リーダーシップとは何か?

私たちは皆、誰かのリーダーになる前に、まず自分自身のリーダーである必要があります。
自分の行動を自分で変えていくことができる―それがセルフ・リーダーシップです。
セルフ・リーダーシップを発揮できて初めて、他者を導くリーダーとなり、周囲からも認められる存在になれるのです。
つまり、セルフ・リーダーシップは、いわゆるリーダーシップの基礎となる力なのです。

では、何ができたらよいのでしょうか?
セルフ・リーダーシップとは、自分自身を導く力です。
自分がどのような未来を望むのかを描き、その実現に向けて自らに影響を与えながら主体的に行動する力を意味します。

この概念を最初に提唱したのは、米国の研究者チャールズ・マンツ(Charles Manz)です。
1983年の著書『Mastering Self-Leadership(邦題:なりたい自分になる技術)』の中で、「セルフ・リーダーシップ」を「自分自身を導くため、自らに影響を与える総合的な視点」と定義しました。
その背景には、社会的認知理論(人は環境から与えられた情報をどう認知するかで行動が変わる)と内発的動機理論(好奇心や関心が持続行動を生む)があり、「人は環境から得た情報の認知によって行動が変わり、好奇心や関心といった内発的動機が行動を持続させる」という考えが根底にあります。

さらに経営学者ピーター・ドラッカーは「セルフリーダーになるとは、自分自身の人生における社長であり、船長のような存在で、自分に奉仕することだ」と述べています。
彼はセルフ・マネジメントを成果の基盤として強調しましたが、その考えを未来志向に拡張したのがセルフ・リーダーシップです。
つまりセルフ・リーダーシップとは、「未来に向けて自分を方向づける力」といえるのです。


なぜ今、セルフ・リーダーシップが必要とされるのか


2020年以降、コロナ禍、リモートワークの定着、DXの進展、多様性の尊重、少子高齢化など、社会は激変しています。
こうした背景の中で、従来の「上が決め、下が従う」モデルは限界を迎えました。
そんな限界を克服する方法の一つとしてセルフ・リーダーシップが注目されています。
ここでは8つの切り口からその背景を解説します。

【制度の形骸化】
企業には評価制度や研修制度が整っていますが、それだけでは人は動きません。
環境変化に制度改訂が追いつかず、現場実態との乖離、管理職の多忙による形式運用、そして「自分の成長とつながっている」という実感の欠如―これらが形骸化を生んでいます。

セルフ・リーダーシップを持つ人材は、制度を「与えられたもの」ではなく「自分の成長の機会」として捉えます。
評価面談を“成長設計の対話”に、研修を“現場実装プロジェクト”に変える主体性が、制度を生きた仕組みに戻すのです。

【価値観の多様化】
「安定収入」「自己実現」「社会貢献」「ワークライフバランス」――人によって重視する価値は異なります。
一律のキャリア提示や指示だけでは、人を動かすことはできません。

セルフ・リーダーシップを持つ人は、自分の価値観を明確化し、それを軸に働くことで、組織の価値観と完全一致しなくても納得感を持って行動できます。
結果として長期的な成果を維持できるのです。

【働き方の変化】
テレワーク、副業、フレックスタイム、ジョブ型雇用など、働き方は多様化しました。
もはや「上司が近くで管理する」環境は当たり前ではなく、一人ひとりが裁量を持って成果を出すことが求められます。

セルフ・リーダーシップを持つ人材は、自分で優先順位を決め、計画・実行・振り返りを自律的に行い、必要なリソースも自ら確保します。
働き方の自由度が高い状況にあればあるほど、この力が必須となってきます。

【効果が出ないリーダーシップ】
かつて有効だった「リーダーが示し、部下が従う」モデルは、現代では通用しにくくなっています。
課題の複雑化・スピード化、知識の分散、管理職の多忙、メンバーの多様化――これらが背景です。

セルフ・リーダーシップは、現場判断と即行動を可能にし、リーダーの負荷を軽減すると同時に組織全体を強くします。

【人口構成の変化】
少子高齢化で労働人口は減少し、若手や中堅が早期から大きな役割を担うようになりました。
多世代混在の職場では、異なる価値観を持つメンバーと協働するため、自分を律しつつ他者とつながるセルフ・リーダーシップが不可欠です。

【環境の変化(VUCA)】
VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)が常態化する時代では、過去の成功モデルは通用しません。
変化を敏感に察知し、曖昧さの中でも自分の方向性を持ち続けられるセルフ・リーダーシップは、不確実な時代の最強の武器です。

【技術・仕事の高度化】
AIや自動化により、単純業務は機械に任せられるようになりました。
その一方で、人間には「創造」「判断」「新しい価値創出」が求められます。

セルフ・リーダーシップを持つ人材は、自ら学び続け、不明確な課題に仮説を立て、試行錯誤を重ねながら成果を出します。

【加速するスピード】
市場の変化は加速し、数か月どころか数週間で戦略を修正する必要があります。
従来型の意思決定プロセスでは遅すぎるのです。

セルフ・リーダーシップを持つ人材は、指示を待たずに即行動することで、組織全体のスピードを底上げします。

【動画 セルフ・リーダーシップとは】
セルフ・リーダーシップが注目されるようになった理由について講師知念が語ります。

 


セルフ・リーダーシップを身につけるメリット


セルフ・リーダーシップを持つ人材は、モチベーションを長期的に維持でき、困難に柔軟に対応できます。
さらに、主体的な行動が新しい価値を生み出し、組織の成果を高めます。
次のようなメリットを得ることができます。

– モチベーションを持続し、燃え尽きを防ぐ。
– 環境変化に柔軟に適応し、不安定な状況でも前進できる。
– イノベーションを創出し、新しい価値を生み出す。
– 意思決定と実行のスピードを高め、組織の競争力を強化。
– キャリア自律を実現し、自分の市場価値を高め続ける。
– チーム全体に波及効果をもたらし、文化を前向きに変える。

 


セルフ・リーダーシップを発揮している人の事例


セルフ・リーダーシップを実際に発揮している人のケースを見てみましょう。

【大谷翔平選手(スポーツ)】
高校時代から目標シートを作り、理想像→逆算→日々の行動に落とし込み、二刀流という前例薄の挑戦を実現しました。
食事や睡眠、トレーニングの徹底した自己管理も含め、セルフ・リーダーシップの好例です。

【ビジネスパーソンの事例】
ある製造業の若手の方は、自分自身の仕事を定期的にふりかえり、
何が求められているのかを客観的に分析を続けました。
最初はなかなか目標達成ができなかったのですが、分析~試行錯誤を続けた結果
結果、納期短縮、目標は常に大幅に上回って達成。
これはまさに「課題発見→トライ&エラー→学び→拡張」というセルフ・リーダーシップの実践例です。

【セールスパーソンの事例】
なかなか訪問件数が伸びなかった若手の方。
自分自身の日程とルートの組み方を分析しました。
その結果、かなり「ムダ」があることを発見。
ムダをなくすことを意識して訪問計画を組みなおしただけで、訪問件数は倍増しました。
更に、チームの目標と自分自身のセールス内容を比較して、売るべきサービスやターゲット、セールストークを見直し、更には単価を上げた提案をすることができるようになりました。

 

★セルフ・リーダーシップ研修・人材育成に関する悩みは、お気軽にご相談ください!
お問い合わせはこちらから⇒
問い合わせる

 


どのようにして習得するのか


セルフ・リーダーシップは、単なる「自己管理」ではなく、未来を描き、他者を巻き込みながら実現していく包括的な力です。
その全体像は、次の3つの要素で構成されています。

1. 未来創造型問題解決力
2. 他者を動かすコミュニケーション力
3. セルフ・マネジメント

さらに「セルフ・マネジメント」は以下の5つの要素に分かれます。
– レジリエンス
– 問題解決力(従来型)
– マネジメントの基礎知識
– モチベーションのマネジメント
– タイム・マネジメント

セルフリーダーシップ、7つの要素

次に、それぞれを鍛える方法を解説します。

 1.未来創造型問題解決力
 未来創造型問題解決力とは、「望む未来から逆算して現在の行動を設計する力」です。
 従来の「問題解決」は現状と理想のギャップを埋めるものでしたが、未来創造型は自らがありたい姿を先に描き、その実現のために課題を設定するアプローチです。

 ■鍛える方法:
– 5年後・10年後にどうありたいかを言語化する。
– OKRや未来年表を活用し、理想から現在の行動に落とし込む。
– 小さな未来像を設定し、1週間単位で試行・振り返りを繰り返す。

2.他者を動かすコミュニケーション力
 セルフ・リーダーシップは自分の行動だけでなく、他者への働きかけも含みます。
成果を出すには、他者に影響を与えるコミュニケーションが欠かせません。

■鍛える方法:
– 「観察→ 事実 → 期待 → 合意」の流れで伝える練習をする。
– 相手の意見や強みを引き出す質問を意識的に行う。
– 心理的安全性を高めるために、相手を尊重する言葉を習慣化する。
– プレゼンやファシリテーションの場で「行動を促す言葉がけ」を実践する。

3.セルフ・マネジメント(5つの要素)
セルフ・マネジメントは、セルフ・リーダーシップの土台です。
自分を整え、力を持続させるための5つのスキルから構成されます。

① レジリエンス
逆境から立ち直り、成長につなげる力。
■鍛える方法:
– 感情を言語化し、自分の状態を客観的に把握する。

– 小さな成功体験を積み、自信の回復サイクルを意識する。
– 健康管理(睡眠・運動・食事)を整える。

② 問題解決力(従来型)
現状を分析し、原因を特定して改善する力。
■鍛える方法:
– PDCAを日常業務に取り入れる。
– 問題を「現象・原因・対策」に分けて整理する。
– 小さなトラブルを解決する習慣を持ち、解決力を鍛える。

③ マネジメントの基礎知識
意思決定の幅を広げるための土台知識。
■鍛える方法:
– 会計・人材・品質・業務プロセスなど、基本的なマネジメントを学ぶ。
– 部分最適ではなく全体最適を意識する。
– 現場の数字やデータに触れる習慣を持つ。

④ モチベーションのマネジメント

自分の内発的動機を理解し、持続可能な形で活力を保つ力。
■鍛える方法:
自分の価値観や強みを棚卸しする。
– やりたいこととやるべきことの接点を見つける。
– ルーティンや仕組みをつくり、感情任せではなく習慣で動ける状態にする。

⑤ タイム・マネジメント

時間は有限資源であり、自律の根幹。
■鍛える方法:
 – 毎朝「最重要タスク(MIT)」を決める。
– 集中時間と休息時間をブロックで設計する。
– 週単位で振り返り、時間の使い方を改善する。

未来を描き、自分を整え、他者を巻き込みながら行動する。
これらを日常的に実践することで、変化の激しい時代でも成果を出し続けられる「真のリーダーシップ」を発揮できるのです。


セルフ・リーダーシップとリーダーシップの関係性


リーダーシップは「他者を導く力」、セルフ・リーダーシップは「自分を導く力」です。
重要なのは、他者を変える前に自分の行動を変え、メンバーの信頼を獲得すること。
自ら動くことで信頼が生まれ、影響力が広がります。
セルフ・リーダーシップがベースにあって、その上にリーダーシップが構築されると考えてください。
チームのリーダー・メンバーの双方がセルフ・リーダーシップを持っているチームは最強です。

リーダーはチームのメンバーが仕事をしやすい環境をつくり、
メンバーはセルフ・リーダーシップで現場判断と実行を担う―この補完関係が組織の適応力を高めるのです。


セルフ・リーダーシップとセルフ・マネジメントの違い


セルフ・マネジメントは「現在を効率的に管理する技術」、
セルフ・リーダーシップは「未来に向かう方向性を定める力」です。

両者を組み合わせることで、短期的な成果と長期的な成長を同時に実現できます。

 


当社の研修・コンサルティングで身につけるセルフ・リーダーシップ


フロネシス・マネジメントでは、セルフ・リーダーシップを「個人の成長と組織成果を同時に高める基盤」と位置づけ、研修・コンサルティングを提供しています。
– 実践重視: 理論→現場実装→振り返りを重ねる設計
– 現場課題に直結: 御社のKPI・課題に合わせたカスタマイズ
– 組織全体に波及: 個人変化がチーム文化へ広がる仕組み

導入企業では、離職率低下・若手の早期戦力化・管理職の視座向上などの成果が出ています
※研修のスタイル:従来の対面形式はもちろん、オンライン型・ハイブリッド型と多様に対応いたします。

★セルフ・リーダーシップ研修・人材育成に関する悩みは、お気軽にご相談ください!
お問い合わせはこちらから⇒
問い合わせる

効果

    • 自らのマインド・セットの存在に気づき、成長型マインド・セットに移行するために新しい視点を獲得します。
    • 仕事・人生における強みを発見し、今後の成長の方向性を見いだせます。
    • 今後どのような能力・スキルが必要となるか、自らの強み・弱みは何なのかを分析し、成長の材料にします。
    • これまでどのような価値観に基づいて行動していたか自己分析をし、自己理解を深めます。
    • キャリアに関する基礎知識を習得することで、自主性・自律性を発揮できる人材を育成します。

カリキュラム【基礎編】

1日コースを掲載しております。

時間内 容
午前■オリエンテーション

1. セルフ・リーダーシップとは

2. 自らの仕事とキャリアについて理解する
・どんな経験がキャリアをつくるのか?
・キャリアの考え方
・外面的なキャリアと内面的なキャリア
<実習>
・仕事の経験を語る
・職務と役割アセスメント
・役割ネットワーク

 

セルフ・リーダーシップとキャリアについて解説した後、キャリアがどのようにつくられ、どのように考えていくのが良いか、など「キャリア」についての基礎的知識を解説。また、キャリアに対する考え方が人それぞれであること、その違いがどこから生じるかについても講義します。
実習では「職務と役割アセスメント」で現状のキャリア分析をし、「役割ネットワーク」の中で自らの能力やスキルをどのように発揮しデザインしていくかを考えます。

午後3. セルフ・リーダーシップのあり方
・みんながリーダー
・自分の価値観を知る
<実習>キャリア指向チェック4. セルフ・リーダーシップの発揮と組織の関係
・「問題」と不満は似ている?
・自責の人/他責の人
・考え方・行動の「パターン」を知る
<実習>
・考え方と行動のパターン
・未来を描く
仕事では強い「セルフ・リーダーシップ」を必要とする状況に遭遇することがあります。セルフ・リーダーシップに対する知識の有無や自らのモチベーションがどこから来ているか知っていることが柔軟な対応を生み、新たな解決策をもたらしてくれます。 実習を交えながら、セルフ・リーダーシップ発揮に役立つ知識・スキルを習得します。

★セルフ・リーダーシップ研修・人材育成に関する悩みは、お気軽にご相談ください!
お問い合わせはこちらから⇒
問い合わせる

 

受講者の感想(準備中)


 

【関連サイト】

 

★セルフ・リーダーシップ研修・人材育成に関する悩みは、お気軽にご相談ください!
お問い合わせはこちらから⇒
問い合わせる

その他サービス

  1. 問題を解決して新しい未来をつくる
  2. 聴くスキルと話すスキル
  3. ストレスと変化に強い心を育てる
  4. 1on1meeting
  5. 成長の方向性を知る
  6. 健全なフィードバック
  7. 自らを成長に導く
  8. 時間をうまく使う
  9. 組織を活性化するリーダー
  10. 柔軟に考えて行動する女性リーダー