新しいSNS、Clubhouseが話題です。様々な媒体で取り上げられ、注目されています。Clubhouseとは「音声」だけでやりとりする点がこれまでのSNSとは大きく異なります。やりとりは声と音だけ。文字情報と画像はほぼ使いません。また招待制ということで入りたくてもなかなか入れない、有名人たちが先行して使っていることなどで話題になっています。幸いなことに筆者は友人が誘ってくれたので入ることができました。物珍しさもあって使ってみましたので、その感想・仕事のツールとしてどうなのか・多くの人が読んでいない「コミュニティガイドライン」を訳してみたのでブログにあげておきます。Clubhouseを始めたばかりの方やこれから始めたいと思う方、英語で読むのが面倒な方、ツールとしてどうなのかを知りたい方のご参考になれば幸いです。
1.Clubhouseとは
Clubhouseとは
2020年4月からアメリカでサービスを開始した音声で交流するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)です。開発したのは、Googleの元社員2人。2020年4月というと、新型ウィルスコロナの影響が出始めて欧米ではロックダウンが施行、人と会うことが制限され始めた頃です。家にいてFacebook やLINEといった従来型のSNSでは物足りず、Zoom飲みを楽しむ人もでてきました。Zoomが一気に身近になった時期です。お気づきのようにZoomではオンラインでつながっている相手の「姿」は見えても、リアルで会っている時のようにみんなで一斉に話すことはできません。そこにフラストレーションを感じた人もある程度いたことでしょう。ところが、このClubhouseは「音声」に特化して複数が一斉にしゃべってもちゃんとそれを拾い、会話として成立させてくれるのです。ここが画期的です。操作ボタンが少なく直感的に使えることや記録ができないことも人気の一因だと思います。Clubhouseを見ると、もうFacebokが複雑きわまりなく感じてしまいます。2020年5月には投資会社から多額の資金援助を受けて、一層人気が高まったようです。日本では2021年1月23日にβ版での運用がスタートしました。β版なので、iOSで動くiphoneでしか動きません。アンドロイド版は現在開発中ということなので、早晩使えるようになるはずです。待ちましょう!
仕事のツールとしてはどうなのか?
使ってみて印象的だったのは、音声技術が優れていてストレスフリーで話せること。Zoomの順番に話す・・・とは大きな違いです。本当に普段の会話のように話せます。ですが、音声のみとなるとこれはこれで文字を使いたくなる・・・リアルなコミュニケーションの情報量の多さを改めて感じた次第です。もちろん100人が一斉に話すなんてことは日常生活でも無理なので、ある程度人数に制限はあります。そこで交通整理役が必要となってきます。このあたりのことについては、後述する基本原則の中に詳しく書かれています。
仕事のツールとしては、会話の自由度が高いので雑談・アイデア出し(ブレーンストーミングなど)には有効でしょう。画面に張り付いている必要がないのでストレスフリーでもありますが、iphone使用を前提とすることや記録ができないといったことから現時点で組織で使うのはまだ無理かなという印象です。アーティスト、フリーランスで働く人、企業内でも自由度が高い状態で働ける人、プライベートで楽しむにはいいと思います。ただ一点考慮しておくことがあります。現時点でユーザーは圧倒的に20代・30代の若者です。この層の人がどんな使い方ができるかを楽しみながら試しています。このSNSが広がっていくと、コミュニケーションのスタイルが変わる可能性があります。「映像・画像・文字」がなくてもわかる会話がスタンダードになるかもしれないということです。本当にそうなるかどうかはわかりません。そちらへ行く可能性があるかもしれないと思って、Clubhouseがどのように進んでいくか(もちろん頭を打つのではないかという説もあります)観察していくつもりでいます。
登録できないSNS?
さて登録したいけど、登録できない・・・誰も招待してくれない・・・という方が出てきています。かくいう私もそうでした。現時点でClubhouseは完全登録制なのです。しかも1人が招待できるのは2人まで。登録してたくさん使う(特に発信する)と、新たに招待枠をもらえるそうなので、招待してほしい人は先に始めた人にお願いしたり登録したいことを伝えておくといいと思います(私はその方法で招待してもらいました)。もう1つ、招待がなくてもアプリをインストールし、ウェイティングリストに加えてもらうことができます。その前後でいろんな人の携帯電話番号を携帯の連絡先アプリに登録しましょう。そうすると、その相手に「あなたの知り合いがウェイティングリストにいます。招待しますか?」というメッセージが相手に届くそうです。Clubhouseは、相手の電話番号が携帯電話の「連絡先」アプリに登録されている必要があるんです。入ってみると知っている人がいっぱいいることにも驚きました。「あら、あの人もこの人も・・・。」ここで気づいたのは、知っているけど携帯の電話番号は知らないな。。。ということです。FacebookやLINEでさえつながっていたら、連絡先知らなくても困らないので、連絡先をアプリに登録しなくなったのは私だけではないと思います。
いずれにせよネズミ算と一緒ですから、そのうち一気に広がります。待てば必ず入れるはずです。
2.Clubhouseのコミュニティ・ガイドライン【前編】
今は黎明期。いろんな人がいろんな使い方を試しているのですが、始まって1ヶ月も経たないうちに禁止された行為があるようです。
Clubhouse はコミュニティ・ガイドラインというものを発表していて、厳格に運用したいとその中で述べています。しかし、β版の現時点では英語表記のみのせいかほとんどの方が読んでいないようです。拙訳ですが、訳してみました。Clubhouseの機能や運用方法のご参考になればうれしく思います。Clubhouseの画面上部、自分自身のアイコンの左にメモ用紙の形のアイコンがあります。そこをクリックするとコミュニティ・ガイドラインが開きます。
以下、意訳したものを掲載します。(2021年1月6日時点のもの)長いので、2回に分けます。( )内の文章は筆者の注釈です。
コミュニティ・ガイドライン
みなさん、こんにちは! クラブハウスは現在のところベータ版で運用しています。私達は日々たくさんのことを学んでいます。私達は多くのオーディエンスに(この場を)開放したいと考えており、この文書が発展に役立つと考えています。
このコミュニティガイドラインはみなさんがクラブハウスをより理解するのに役立つことでしょう。(筆者注釈:次の項目で構成されています)・
- Principles:基本原則。私達はクラブハウスは特別な場所にしようと考えています。
- Roles:役割。ユーザーがクラブハウスの中で遊ぶための主な役割について。
- Rules:ルール。クラブハウスユーザーとして守ってほしいことについて。
- もしあなたが不適切なふるまいに出会った時にできること
Principles:基本原則
クラブハウスは信用できる会話と表現のための場所であるべくデザインされました。人々が楽しみ、学び、意味のあるつながりをつくり、世界中の他者と共に豊かな経験を共有する場所です。下記は私達が重要だと信じている原則です。
- あなた自身であること クラブハウスの信頼は「人」で始まります。
- (他者を)尊重すること。 どんな時もすべての人に適用されます。
- いろいろな人が参加できること。寛容で(他者を)あたたかく迎え入れること。多様な人、多様な視点があることをよく考えましょう。
- 共感と理解に努めること。討論の際には誠意をもって意見を戦わせてください。
有益でほんとうのつながりを育成する。これがクラブハウスの目指すものです。このガイドラインが高いレベルを目指していることを心にとめておいてください。もしあなたがクラブハウスを始めることで何ができるか知りたいと思ったなら、次の役割のところを見てください。
Roles役割
クラブハウスの中での会話は「ルーム」内で行われます。それぞれの部屋の中であなたは「モデレーター」「スピーカー」「リスナー」になることができます。下記はそれぞれの役割におけるベストプラクティス(よい行動パターン)です。
Moderater(モデレーター・仲介する人・調停する人の意味)
あなたがクラブハウス内でルームを立ち上げようとするなら、あなたがそのモデレーターです。これはあなたがスピーカー(話し手)であり、他のスピーカーに対し権限を与えたり取り去ることができる特別な力を持っていることを意味します。モデレーターはその部屋の中で会話をガイドし、会話の内容とその様式に強力な影響力を持ちます。
クラブハウス内で良いモデレーターにはこのような傾向が見られます。
- 思慮深くスピーカーの状態を監督する:素晴らしいモデレーターたちは誰をスピーカーとして招くか、思慮深く考えています。また多様な人々やパーソナリティ、視点を包括的でいようとします。モデレーターは多くのスピーカーと一緒に「パーティルーム」を開くかどうかや二人だけの炉辺談話(カジュアルな会話のこと)を設定するどうかを決めることができます。すべてのタイプのルームが可能でそれぞれのスタイルを発展させていくかはモデレーター次第です。
- 対話を動的に運営する:長くしゃべることが好きな話し手がいる一方で無口な人もいます。モデレーターは(自分自身が)積極的でいることや力関係のバランスをとり、物静かなスピーカーには視点の共有やグループへの問いかけを求めることができます。
- オーディエンスの経験を思いやる:リスナーは質問ができることや討論への参加やリアルタイムのフィードバックを提供できることを楽しみにしています。適切な段階でリスナーたちの質問を取り上げたり、遠慮なくスピーカーに話の焦点をあてましょう。もちろん、これはあなた次第です。あなたが質問をとりあげ、質問に応えた後はリスナーを元のオーディエンスの中に戻ってもらってかまいません。(原文ではit’s okay to return a listener to the audience after the question is answered. と書かれています。Listenerは「1人」の聞き手、 audience は複数の視聴者をいいます。1人にスポットをあてた後は群衆の中に戻ってもらっていいということです。)
Speaker(スピーカー)
スピーカー(話し手)というのは「ルーム」にいる人をいい、話ができます。現在の標準仕様では、ルームを立ち上げた人はスピーカーですし最初にそのルームに入った人もスピーカーとして話ができます。他に聞き手として合流した人達が話をしたい場合は、話し手として招かれる必要があります。(clubhouseの画面では、スピーカーの人は画面の上部にアイコンが表示され、聞き手は画面の下の方に表示されます。話をした時は挙手のボタンを押し、モデレーターが許可をすることでスピーカーのエリアに移動できます。これを「(スピーカーエリアに)上げる」と表現しています。)
スピーカーとして成功している人たちには次のような傾向が見られます。
- (スピーカーの)ステージを共有する:クラブハウス内では1対1のインタビューのような会話は稀です。たいていは1人のスピーカーとの話が始まり、3人、5人ともっと多くのスピーカーへの広がりを見せています。ステージを共有し、交代に話すことで会話は広がりと深さを増していき多様な声へとつながっていくのです。
- ミュートとミュート解除のタイミングを知る:あなたが話すことに積極的になれない時は画面の右下にある(マイクの)ミュートボタンを押して、背景の雑音を最小化しておくのがいいでしょう。でも戦略的にミュートを解除することも同じくらい重要なんです!たとえばさっとマイクミュートを解除して少し笑ってみると、それはスピーカーが話した内容を受け止めて次にあなたが話したいというシグナルになりますし、カジュアルなコミュニケーションでは「そこにいる」という主張にもなるでしょう。(原文では be more present in “hangout” style communicationとあります。Hangoutはたむろしているとか遊んでいる感じという意味なのですが、ここではカジュアルなと意訳しています。)
- いつでも(スピーカーエリアから)退場できる:スピーカーセクションからは誰かの審査など必要なく自らの意思で離れ、聞き手に戻ってその部屋にい続けることができます。その際には“Leave quietly”ボタンを使ってください。
Listener(リスナー・聞き手)
あなたが既に立ち上げられている会話に加わろうと(ルームを)タップする時、マイクはミュートされリスナーとして入ることになります。クラブハウス上でリスナーは、リラックスして会話を楽しんでください。つまり、こういうことです。(以下参照)
- 話すことへのプレッシャーを感じる必要はありません;たとえ話し手として招かれたとしてもリスナーを続けることができます。話す義務はありません。
- 話に入っていきたい時は手を挙げます:もしあなたが会話に加わりたい時は画面の右下にあるボタンを押して手を挙げ、モデレーターにスピーカーとして加えてほしいと知らせるだけです。もしモデレーターがすぐにそのリクエストに対処しなかったとしてもがっかりしないでください。たくさんの人からリクエストがきていていつもその全てに応えられないだけでしょうから。
- 新しい人を見つけましょう:あなたがリスナーとして参加している時は、その部屋にいる人たち(のアイコン)をタップして、その人たちに関する情報を見てみましょう。これはフォローする人を見つけるのによい方法です。
- 気軽に他の部屋も覗いてみる:ルームにいる間は自由に運営されている他のルームリストを探検してみましょう。何があなたの耳に入ってくるでしょう。
- マルチタスクを楽しみましょう。あなたの注意力がクラブハウスと仕事、趣味、雑用、夜の仕事との間で分断されると心配する必要はありません。人々はたいていクラブハウスを使いながら他のことをやっていますから!
- チャットしたい人を引っ張り出せる:オーディエンスの中に気になった人がいますか?もしそんな人を見つけたら、相手のプロフィールをタップして一緒に新しいルームを立ち上げてもいいかを尋ねましょう。(原文では you want to catch up with とあります。巻き込みたいとか夢中になるとか追いつくという意味がありますが、2人で話をしたいということなので「気になった人」と意訳しました。クラブハウス内では「駆け落ち」「(二人で)フケる」といった表現がでてきているようです。)
- 意のままに出たり入ったりできます:クラブハウスの中では「ゴースティング(音信不通の状態)は悪いことではありません!ルームに入ったり出たりできますので誰かの気を悪くするんじゃないかという心配はしないでください。あなたが部屋を出る時に何かのアラートをセットオフにする必要はないのです。
(後編に続きます)
【関連サイトのご案内】
- 著者 知念くにこ プロフィール
- ブログ 「テレワークは定着するか?メリットとデメリット」
- ブログ 「オンライン研修と集合型研修、その違いは?」
- ブログ 「web研修、上手に導入する方法」
- ブログ 「どうする?2021年の新人教育」
- 人材育成についてのご質問・ご相談(無料です!)
- 人材育成について1on1で話しあうサービスがあります(有料です。こちらから詳細をご確認の上お申し込みください)
この記事へのコメントはありません。