テレワークは定着するか?メリットとデメリット

自宅で仕事

政府の緊急事態宣言・解除から半年が経過し、通常通りオフィスでの仕事が再開された企業があれば、一気にテレワークに舵を切った企業、オフィスを縮小する企業など対応が分かれてきました。今後在宅を前提とした雇用制度に移行する企業もあるようです。コロナの影響が出る前は「働き方改革」に効果的と推奨されても浸透しなかったのにコロナの影響で一気に広まったテレワーク。経験した結果、企業・働く人はどう感じたのでしょうか。やってみたらできるじゃないか、案外いける・・・と判断されたのか、それとも看過できないデメリットに気づいたのか。はたしてテレワークはこのまま定着するのでしょうか?

1.テレワークはスタンダードになるのか?

■そもそもテレワークとは?

 

テレワークのteleとは本来、「遠い、離れた場所」という意味です。そこにworkという言葉がつながって、オフィスから離れた場所で仕事をするという意味で使われるようになりました。
コロナの影響でテレワークが一気に増えたため「テレワーク=在宅勤務」と考えている方が多いのですが、本来在宅勤務はテレワークの一つです。テレワークには「在宅勤務・モバイルワーク・サードブレイスオフィス勤務(サテライトオフィス等が該当します)」の3種類が存在するのですが、今もうすべてを総称してテレワークと呼ばれるようになっています。
またテレワークとよく似た言葉に「リモートワーク」がありますが、テレワークがオフィスで働くことを前提としているのに対して、リモートワークはオフィスの外で働くことを前提としています。

【テレワークには本来3種類あった】

・在宅勤務
・モバイルワーク
・サードプレイスオフィス勤務

最近はこの3つを総称してテレワークと呼ばれています。

■テレワークのメリット

 

では、テレワークのメリットを見ていきましょう。
政府が全国の都道府県に緊急事態宣言を出したのが2020年4月16日。
多くの企業でテレワークが導入されました。(6割~7割の企業が導入したという調査結果もありましたが、地域差や企業の規模、業種によってバラツキがあるようです。)
宣言は5月25日に解除されたもののコロナに対する効果的な手段が見えないということで、そのままテレワークを続けている企業も多いようです。
半年ほどテレワークを経験した結果、テレワークのメリットについて次のような調査結果がでています。

ただしテレワークの継続を希望する人と希望しない人では、結果に違いがあることもわかっています。
特に時間の使い方や仕事の生産性といった項目では、大きく開きが出ています。
テレワークを希望しない人たちは、家庭では育児や介護があるために仕事の時間を取りにくい/生産性が上がらないといった事情や
仕事の内容が他者とのコミュニケーションを必要とするなどの理由があるようです。
また世代により、仕事への考え方の違いがあることもと考えられます。

では、デメリットを見てみましょう。

2.テレワークの問題点とは

■テレワークのデメリット

 

一方テレワークのデメリットについては、次のような項目があげられます。

  • 勤務時間とそれ以外の区別がつけづらい
  • 運動不足になる
  • コミュニケーションが不足し、孤独感を感じる
  • 業務の効率が低下する
  • 勤務実態の把握が難しい
  • 適正な評価が行われるか不安

大事なことは、デメリットが大きいからやめてしまおう・・・ではなく、
デメリットによる影響を最小限に抑え、自社にとってよりよい働き方を見つけ対策をしていくことです。
では、デメリットへの対策としてはどのようなことが効果的なのでしょうか?

■テレワーク、デメリットへの対策はどうする?

 

早くからテレワークに取り組んできたサイボウズは、テレワークに取り組んできた結果わかったことを「サイボウズ式」として公開しています。このような先行している企業の事例は参考になります。また、10月7日の日経新聞では、テレワークの評価が分かれてきたという記事が出ていました。(テレワーク 分かれる評価)記事の中でいくつかの企業のテレワークへの評価と取り組み例を紹介していたので、その内容を分類してみました。
テレワークへの対応事例
こうやって眺めてみると、あたりまえのことですが、一律に「テレワーク推進」「オフィス回帰」ではないことがよくわかります。
どの領域でどのようにデメリットが出てくるのかを見極めた上で部分的に実施したり、
全体で実施する場合でもデメリットを回避するための対策を取っています。
もちろんどの企業にとっても初めてのことですから、この対策が本当に効果的かどうかはわかりませんし、
ある企業で効果があった対策が自社にも通用するかどうかはわかりません。

大事なことは自社の強みを発揮するために何をすべきかを考え、行動することです。
身近なことでできることはたくさんあるはずです。
私が知っている企業だけでも、
毎週決まった時間に全員でオンライン会議をしたり、
定時に全員で体操をしたり、ランチタイムはオンライン会議ツールを使ってみんなで一緒に食べたり、
管理職はずっとチャットをONにしておく、
交代で出社をして顧客へは必ず複数で対応する・・・など対策を取っていらっしゃいます。
個人レベルでできることとなると、もっと多くの方法が考えられるでしょう。

テレワーク

3.テレワークの定着・浸透で変わるもの

こうしてメリット・デメリット・その対策について考えてみると、テレワークの効果は職種やキャリア・働く人それそれのライフスタイルによってテ異なるようです。デメリットへの対策としてツールの導入や社員教育は重要ですが、その前にもっと大事なことがあります。
それは、次の2つ。

  • テレワークのルールを定めること
  • 働く人全員の意識を変えること

ルールについては、「多様性」に考慮したものが求められます。これまでのようにみんなで同じルールの下で・・・ではもう多様化・個性化に対応できなくなっているのです。
ルールは、今後キーワードになってくると私は考えています。
「職場全体のルール」「組織のルール」はこれまでも存在していましたが、これからは「マイ・ルール」の時代。
テレワークが今後も続いていくならば、上司や同僚からの干渉や日本人特有の同調圧力はよくも悪くも減っていきます。同調圧力については弊害ばかり指摘されますが、実は全体のレベルを引き上げるのに一役も二役も買っています。他者からの影響が少ない環境では「個人の力」で仕事を覚える・レベルアップすることが前提となってきます。いつどこでどのように仕事をするかを自ら決め選択していくにあたり、選択の基準となる「マイ・ルール」、自分で自分のルールをつくっていくことになるでしょう。
仕事をする上での哲学・信念・価値観を体現するものがマイ・ルールです。
リーダーだけでなく、働く人みんなが自分がどうありたいかを考える時代になったのです。
自由度が増すとその分自分自身でのマネジメントが必要になります。セルフ・マネジメントの時代なのです。既に上手にできている人とできていない人の二極化が始まっています。働く人々は自分のためのマイ・ルール、自ら成長していくセルフ・マネジメント力、そしてより未来へと目を向け周囲に良い影響を及ぼすセルフ・リーダーシップ力を持っていることがこのVUCA(Volatility:変動性・不安定さ、Uncertainty:不確実性・不確定さ、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性・不明確さの略)な時代を生きぬくために必要なのです。

まとめ

  • テレワークのメリット・デメリットは、職種やライフスタイルで違う。
  • テレワーク/出社 の2択で考えるのではなく、自社の強みを発揮する方法を考える。
  • トレンドのツールや手法よりも大事なことは「テレワークのルール」と「意識を変えること」
  • これからはセルフ・マネジメント力、セルフ・リーダーシップ力の有無がポイントの時代

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