リーダーなんて嫌だと言っていた女性が変わった理由

お互いを認め合う様子

私は研修で効果を出します、と断言しています。
実際にかなりの確率で効果が出ています。
今日はそのなかで私自身、このお仕事をさせていただいてよかった、と実感した瞬間となぜ効果が出るのかをお伝えします

1.何故研修で変化が起きるのか?

「アサーティブ」なコミュニケーションと「承認」を徹底して行います。アサーティブ・コミュニケーションとは、相手のことを尊重して対等な対話をすること。いきなり変わりなさいと言うのではなく、現在の環境についてどう感じているかにしっかり耳を傾け、その感情や状況を否定することなく受け止め共感を表現することで、安心して学んでもらえると考えています。
アサーティブ・コミュニケーションと承認。
シンプルなようですが、今の日本には不足しています。私自身日々の生活でアサーティブのかけらもない人に出会い、うんざりすることがよくあります。人を育て組織を活性化したいなら、是非一度職場のコミュニケーションに「アサーティブ」な要素が足りているかチェックされることをお勧めいたします。
では、ここからは実際の私の経験をふりかえってみます。

2.不満の塊だった女性が変わった!!

それはある企業様の研修で講義をしていたときの、今も忘れがたい出来事です。サービスのひとつに〈女性リーダー育成研修〉があります。これは1泊2日で実施するカリキュラムで、1日目の朝10時から2日目の夕刻まで長時間、ともに過ごし本音で語り合える環境をつくりながら進めます。さまざまな対話を通して、自分自身のリーダー像を見つけていただく大事なプロセスと考えています。
さて、その日は13名の女性が来られました。皆さんのお顔を拝見すると、これは私個人の印象ですが、いい顔をしているのはひとりだけ。いい顔とは美人やきれいといった意味ではなく、日々充実して過ごしていることが表情に出ているという意味。他の人たちは、なんでこんなところに集められなきゃいけないの? というような不満が顔に出ていました。講師の私に対しては初対面だけに、誰この人?と言いたげな目で見ているのです。 正直、やりにくいな……と思ったものの、そこで立ち止まってはいられません。午前中のオリエンテーションに始まって、昼食をはさんで〈環境変化を認識する〉ための講義、グループワーク。進めていくうちに、いちばん不満そうにしていた人の顔が和らぐ瞬間がありました。些細な反応を見逃さずにつかまえることが研修の効果を左右します。

3.研修で不満をぶちまける受講者

いけるかもしれないと感じた私は、皆さんが普段から抱えている不満を何でも出していただくようにしました。「もうオフレコなので、思っていることを全部言ってもらっていいですよ。どうぞ、吐き出してください」と伝えたのです。
聞いてみると、よくわかる話ばかり。私も同じような経験をしているからわかる−−。「不満に感じるのは構わないんですよ」と言うと、「いいんですか?」と問われました。私はこう答えました。
「いいですよ。人間だから不満もあるでしょう。なんならずっと不満を言いながら、そのまま仕事をしていってもいいですよ。そのままがよかったら、そのままでどうぞ。」
皆さん、「えっ?」と肩透かしを食ったような表情になり、そこからはうつむきがちだった人達の顔が上がって姿勢が良くなりました。
おそらく、会社で「そのままでいい」などと言われた経験がないのでしょう。たいていは上司から「今のままじゃダメだ。変われ」と言われていると思うのです。だから私の言葉が意外に響いて興味を持たれたのか、13名全員がこちらの話を聞く態勢になった時に、私は「もちろんそのままでいいんですけれど、別の選択肢もあります」と切り出しました。そうして、今度はいつもリーダー育成研修で必ずお伝えする話を始めたのです。一部を次に抜粋します。

4.リーダー像は時代と共に変わる

「皆さんはリーダーというものにどんなイメージを持っていますか? 声が大きいばかりがリーダーではないですし、いつも強気でぐいぐい部下を引っ張るのがリーダーとは限りません。
そもそも、リーダーシップには時代によって「これがいい」と定義づけられてきた変遷があります。これは歴史として残っていて、だいたい各年代ごと、本当に人の価値観や志向が変わった影響を受けている場合もあれば、じつは誰かが「この商品を売りたい」と思って仕掛けている場合もあります。例えば、最近では“ストレングス・リーダーシップ”という言葉が流行っていますが、これも仕掛けられているのです。 ということは、あなた自身の本当の良さや強みを打ち出せるリーダーシップ像を自分でつくればいいんだ、と思いませんか? それができるんですよ。これからつくっていきましょう。」

この話の途中から、皆さん、少しホッとされたような表情になっていました。すべてのカリキュラムが終わったときには、全員の表情が変わってまさにいい顔になっていたのです。

5.そして迎えた2日目の朝

その翌朝。いきなり驚かされました。なんと、いちばん不満の塊だった人が、輝くような顔で「おはようございます!」と私にあいさつしてくださったのです。手応えを感じながら2日目の講義を進めました。
そして終了時、全員にひと言ずつ、講義の感想や今後どうしたいかなどお話しいただきました。するとその彼女が「もう安心してください。私は大丈夫です」とおっしゃったのです。
彼女のいちばんの不満は、「うちの会社には管理職としてお手本になる女性がいない。そんな状況であれをやれ、これをやれ、と言われても、何をしていいかわからない。上司は言いっぱなしで誰も何もしてくれない」ということでした。ところが彼女は「大丈夫」の後にこう続けました。
「お手本とかロールモデルなんかなくてもいいです。私がなってみせます!」
本来の彼女の資質が引き出されたのか、押さえつけられていたものが開放されたのか、いずれにせよ、彼女は確実に変わったのです。自分自身の殻を破った力強いリーダー誕生の場面に立ち会えて、本当にうれしく感動した一瞬です。毎回こううまくいくわけではないのですが、研修をきっかけに変化は起きます。私の仕事は人と組織の中にその変化をつくることだと考えています。

まとめ

  • アサーティブなコミュニケーションは安心感をつくり、学びを促進する
  • 承認も安心感をつくりだすのには効果がある。継続して承認を受けることで、人はモチベーションが刺激される。
  • 女性リーダー(ならびに次期リーダー)には、男性以上にアサーティブなコミュニケーションと承認が効果的。

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